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病気の話し |
痔瘻(アナ痔)・肛門周囲膿瘍 |
原因:肛門には約8ヶの窪み(肛門腺の入り口)があります.この窪みに便(下痢の場合が多いです)が入り込むことで発症します.便(バイ菌)が体の中に入り込むので,化膿します.この状態を肛門周囲膿瘍と言います.やがて,痔瘻となります.
症状:急に肛門が腫れて,痛みを感じます.放置しておくと発熱します.
治療:肛門の周囲にウミが貯まって痛みを起こしているので,このウミを出してあげる必要があります.この処置を切開排膿と言います.この処置により,ウミが出て,痛みが和らぎます.しかし,この処置は根本的な治療ではなく,あくまで応急処置です.つまり,以下に述べる根本的な治療をしないと,再度膿が貯まってしまいます.
根本的な治療は,膿が貯まる原因となる痔瘻の手術です.手術の方法として,切開開放術(根治性が高いですが,多少括約筋を損傷します),括約筋温存術(再発する可能性が多少ありますが,括約筋を温存できます),それと両者の中間的なシートン法があり.痔瘻のできた場所などを考慮してどの方法にするか判断します.
癌化の問題:痔瘻は,ウミが出ると楽になるので,放置する方がいます.化膿を繰り返している事が原因で癌化する事があります.私の上司である岩垂純一先生の博士論文は痔瘻癌がテーマであったので,よく薫陶を受けました.通常,10年以上放置した患者様に起きやすいです.ただ,クローン病の方で痔瘻を持っている患者様はその期間は短いので,要注意です.
鑑別診断:痔瘻に癌(痔瘻癌といいます)を併発する事があります.痔瘻癌は肛門を専門にしている施設でも稀にみる病気です.専門医でないと診断は難しいです.
フォルニエ症候群というやっかいな病気があります.肛門の周囲が化膿する状態は痔瘻と同じですが,切開をしてもウミが出ず,化膿していないのかと思ってしまいますが,実際は化膿性の病気です.痔瘻で命を落とすことはありませんが,この病気では治療の遅れは,死に到るものです.非常に稀な病気ですが,糖尿病などを患っている方は要注意です.専門医でないと診断は難しいです.
急に腫れる病気で,血栓性外痔核があります. |
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